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2023/11/11 更新

スーツケースの防犯対策や安全性について

あくまで施錠は犯罪者に窃盗を躊躇させる予防策として考えるべきです。最善なのは、盗まれては困る貴重品は肌身離さず隠し持つか、そもそも盗まれては困るような貴重品を安易に持ち歩かないことです。
目次
  • 施錠ロックの種類(スーツケース)
  • ファスナー式は簡単に中を開けられてしまう
  • TSAロックでも壊される・開錠される恐れがある
  • 固い施錠がされたスーツケースほど狙われやすい
  • 施錠はあくまで時間稼ぎに過ぎない

施錠ロックの種類(スーツケース)

スーツケースは開閉部分の工法タイプによって「ファスナー式」と「フレーム式」の2つに分類されます。各スーツケースタイプによって使用される施錠の種類も異なりますが、頑丈な造りのフレーム式の方が豊富な種類があります。

ファスナー式

ファスナー式

ファスナー式のスーツケースは、両側の引き手を固定させて施錠する構造になっています。ファスナー式には、以下のような施錠機構があります。

施錠機構
  • シリンダーロック
  • ダイヤルロック
  • 南京錠(シリンダー式、ダイヤル式)
  • カードロック

シリンダーロックは鍵穴に鍵を差し込んで回して使用するタイプです。ダイヤルロックは数桁の暗証番号を自分で設定してロックするタイプです。アメリカ渡航に必須とされるTSAロックには、シリンダーロックやダイヤルロックによる施錠が多くを占めます。また、ボディ素材が柔らかいファスナー式のソフトスーツケースでは、引き手の丸い穴に南京錠を通して施錠するのが主流です。

シリンダーロックとダイヤルロック

フレーム式

フレーム式

フレーム式のスーツケースは、ワンタッチで「パチッ」と開閉できる構造になっています。フレーム式には、以下のような施錠機構があります。

施錠機構
  • シリンダーロック
  • ダイヤルロック
  • マグネットロック
  • カードロック

シリンダーロックやダイヤルロックの他には、型のついたマグネットキーを差し込んで使用するマグネットロックや、カードキーを差し込んで使用するカードロックがあります。マグネットロックやカードロックは、鍵穴のあるシリンダーロックに比べてピッキングに対する防犯性が高いという特徴があります。フレーム式は頑丈に造られているため、カードロックなどの特殊な施錠機構を組み込むことができます。(ファスナー式のカードロックもあるようです

ファスナー式は簡単に中を開けられてしまう

ファスナー式のスーツケースは、ドライバーやボールペン先など先端の尖ったもので簡単に開けることができてしまいます。

一般には意外に知られていないですが、犯罪の常習者であればファスナー式の脆弱性は熟知しているはずです。ファスナー式のスーツケースはこういった脆弱性があるため、防犯性の面ではフレーム式に劣ります。もっとも、フレーム式のスーツケースであっても時間を掛けて壊すことは可能なので、スーツケースの防犯性はあくまで短期的な犯罪抑止という意味合いになります。

TSAロックでも壊される・開錠される恐れがある

アメリカ国内(アメリカ領含む)では2001年の9.11テロ以降、テロ対策として空港に預ける手荷物に施錠をしない、またはアメリカ運輸保安局が認可しているTSAロックを用いて施錠するよう求めています。もしTSAロック付きではないスーツケース等を施錠したまま空港に預けてしまうと、手荷物検査の際、空港職員によって施錠を破壊されて中身を調べられます。それに伴う破損手荷物の補償は一切ありません。

ではTSAロックならば施錠しても安心かと言われれば実はそうではなく、稀にTSAロック付きのスーツケースであっても施錠が壊されて戻ってくることがあります。

TSAロックが破壊される事例

事例
  • 預けた手荷物のTSAロックキー(TSA001~TSA011のいずれか)に対応するマスターキーを、空港職員が持ち合わせていない。
  • 鍵穴が変形してしまっており、うまく解錠できない。
  • TSAロックに疎い。
  • 仕事が粗い。

こんな場合には運悪くTSAロックを破壊されてしまうことがあります。そのため、最近では「TSAロックであっても鍵をかけずに預けてください」といった旨のアナウンスを行う航空会社も増えてきています。

こういった事態に対処する方法としては、スーツケースのTSAロックは解錠した状態で、その周りをTSAロック付きのスーツケースベルトで巻くという方法があります。これならば最悪TSAロックを破壊されても、スーツケースベルトの破壊だけで済むのでおすすめです。フレーム式のスーツケースの場合、施錠していないと空港職員による荷降ろし等で「パカッ」と開いてしまう心配がありますが、スースケースベルトを巻いていればその心配を軽減できます。

固い施錠がされたスーツケースほど狙われやすい

厳重な施錠が施されたフレーム式のハードスーツケースほど、中身のセキュリティ性能は高くなります。セキュリティ性能の高いスーツケースは持ち主にとって安心感が増しますが、同時に他人からすると「いったいどんな貴重品が入ってるんだろう?」という心理効果も働きます。

海外のかなり治安の悪い地域では、高級腕時計を窃盗するために手首ごと切り取って犯罪を犯す人間が居るくらいなので、身なりには気を配りたいところです。訪れる都市にもよりますが、露骨にお金を持っていそうな雰囲気や、清潔過ぎる格好は逆に犯罪に狙われやすくなるので注意が必要です。

旅行者

施錠はあくまで時間稼ぎに過ぎない

いくらスーツケースに施錠をしていても、スーツケースそのものを盗まれてしまったら意味がありません。スーツケース程度の施錠機構は、時間さえ掛ければ解錠させることができるからです。シリンダーロックもピッキングのプロならば簡単に解錠できてしまうだろうし、ダイヤルロック(3桁)も数字の総当たりで正解にたどり着く(20分程度)ことができます。

約20分で開錠可能(組み合わせの総当たり)

丸裸の状態に比べれば施錠されている方がマシですが、あくまで施錠は犯罪者に窃盗を躊躇させる予防策として考えるべきです。最善なのは、盗まれては困る貴重品は肌身離さず隠し持つか、そもそも盗まれては困るような貴重品を安易に持ち歩かないことです。

過度な防犯性は不要(スーツケース選び)

そう考えると、スーツケース選びは「防犯性で考える必要はあまりない」ということになります。ファスナー式のスーツケースが完全にアウトだったら、そもそも世の中に普及していない訳ですし、ファスナー式のスーツケースを完全除外してスーツケース選びをする必要は全くありません。あくまで旅の快適さ・楽しむことを考えて、自分の好きなようにスーツケースを選んでいきたいですね。

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