キャスターとは、スーツケースの下部に取り付けられている車輪のことです。キャスターが付いていることで、スーツケースを持ち上げることなく引きずって移動することができるようになります。特に荷物の多い長期滞在では、キャスター付きのスーツケースは欠かすことができません。
スーツケースにはハードスーツケースとソフトスーツケースがありますが、いずれのスーツケースにもキャスターが標準的に取り付けられています。重量が大きく丈夫な造りのハードスーツケースには4輪タイプ(4本足)が多く、軽量性や手軽さを求めるソフトスーツケースには2輪タイプが比較的見られます(別段多くはない)。
キャスターには、車輪2つがワンセットとなったマルチホイール(二重構造・双輪キャスター)というモデルがあります。このモデルの場合、足が4本あれば4×2 = 8輪タイプということになりますが、この辺は数え方の問題な気がします。本体に加わる力学的な荷重は、4輪タイプとさほど変わらないように思います。(むしろ部品が増えて壊れやすくなるのでは)
スーツケースのキャスターの選び方でポイントとなるのは以下です。
キャスターはスーツケースの部品で一番消耗が激しい部分です。1万円を切るような価格の安いスーツケースの場合、キャスター部分の部品も安価に作られている(ことも多い)ため、有名ブランドのそれと比べて壊れやすい傾向にあります。破損を防ぐには安物のスーツケースではなく、ある程度販売実績のある有名ブランドのスーツケースを購入するのが望ましいです。
有名ブランドであれば、HINOMOTO(株式会社 日乃本錠前)など高品質な部品メーカーのキャスターを採用していたり、コストを掛けて研究開発した独自キャスターを使用している場合が多いです。
キャスターの数は大きく分けて2輪タイプと4輪タイプがあります。それぞれの特徴やメリット・デメリットを以下にまとめました。
スーツケースに多い4輪タイプの説明から。
構造 |
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利点 |
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欠点 |
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4輪タイプの特徴としては、小回りが利いて扱いやすい、舗装された平坦な道路を移動しやすいなどが挙げられます。空港内やホテル内での移動は4輪タイプの方が楽です。また、人混みや改札など狭い場所を通過するのにも適しています。
構造 |
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利点 |
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欠点 |
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2輪タイプの特徴としては、構造的に壊れにくい、段差や悪路に強いなどが挙げられます。車輪軸が固定されているため直線方向に対しては左右のブレが少なく安定して移動できますが、小回りが利きにくいという欠点もあります。基本的に斜めに引く体勢で移動します。
ホイールの口径によってキャスターの性能に差が出るといわれています。
以前はホイールの小さいタイプが多かったですが、近年では大口径ホイールも増えてきています。大口径ホイールの特徴としては、段差に強い・摩耗しにくいといった点が挙げられます。口径が大きいほど段差に対して踏ん張りが利くようになるので、溝や石畳の凸凹にも有利に働きます。
スーツケース選びを大きく左右するほどのポイントではありませんが、一般に大口径ホイールの方が利点が大きいということだけ理解しておくと良いかと思います。
ホイールの構造にはシングルホイール、マルチホイール(二重構造・双輪キャスター)の2種類があります。マルチホイールについては、ダブルホイール、デュアルキャスターなどとも呼ばれています。
マルチホイールはリモワが採用しているので有名ですが、近年ではマルチホイールのスーツケースも増えてきています。マルチホイールの特徴としては、回転自由度が上がり安定性が増すといった点が挙げられます。また、シングルホイールに比べて路面との接地面積を抑えられるので、滑らかな走行ができる構造になっています。4輪タイプのものをマルチホイールにして、4×2で8輪タイプと呼んだりもしますが、個人的には4輪タイプの派生モデルと考えています。
そこまで明確な差は生まれないので、スーツケース選びを左右させるほど重要な要素ではないと思います。
キャスターはゴロゴロと音がします。昼間であればそこまで気になりませんが、夜間では旅行者のスーツケースから出るゴロゴロ音が騒音問題になったりもします。こういったキャスター音を抑える静音キャスターにはHINOMOTO(株式会社 日乃本錠前)のグリスパックキャスターが有名です。(近年は見かけなくなりました)
キャスターはスーツケースの加重をモロに受ける箇所なので、長く使用していたり段差の多い悪路などを移動していると壊れてしまうことがあります。スーツケースの部品で一番壊れやすい箇所かもしれません。特に価格の安いスーツケースはキャスター部分も安物で作られているので、摩耗や衝撃に弱くあっさり壊れてしまうこともあります。
スーツケースのキャスターが破損してしまった場合の修理方法については、下記リンクを参照してください。