スーツケースのキャスターはゴロゴロと音がします。キャスター部分には荷重がモロに掛かるので、4輪タイプや口径の太いキャスターは地面との接地面積が増えてゴロゴロ音も大きくなる傾向があります。
街がにぎわう昼間であればゴロゴロ音は気になりませんが、夜間となるとそうはいきません。静寂の中で響き渡ってしまうゴロゴロ音は何とかしたいですよね。
以前テレビ番組で、京都に訪れる外国人観光客の騒音問題が取り上げられていました。近年では一般人が旅行者に対して宿を提供する「民泊」なるものが流行していますが、京都市内は道が狭く路地も分かりにくいため、夜間に宿探しで何時間もさまよう外国人観光客の「騒音」が問題となっているようです。
「騒音」とはそうです、キャスターのゴロゴロ音です。こういった騒音が京都の景観を損なうとして今問題になっているようです。
キャスターの製造元についてですが、各スーツケースメーカーがそれぞれキャスター部分を独自製造するのではなく、キャスター製造を専門としている部品メーカーに製造依頼している場合が多いです。もちろん、エース株式会社の「サイレントキャスター®」ように独自開発にこだわっているメーカーもあります。
静音キャスターについて、幾つか紹介したいと思います。
高品質で安心の日本製スーツケースを製造しているエース株式会社。スーツケースの独自研究開発や、耐久テスト・耐湿テスト・温度サイクルテストなど徹底した品質向上テストを実施している国内メーカーです。
エース株式会社が独自開発した「サイレントキャスター®」は、従来のキャスターに比べ高い静音性を実現しています。動画では品質テストの実施風景も紹介されています。こういった品質テストを積極的にアピールするのは、ユーザにとっても非常に良いことだと思います。
エース株式会社には「ace.」「プロテカ」といったブランドがあります。
特許技術と圧倒的な静音性を誇るフリクエンターのスーツケース。
内輪と外輪が回る特殊構造のキャスターにより、高い静粛性を実現。また、交換キットにより自分で簡単にキャスターを交換できるため、長く愛用できる。
従来のキャスターよりも約2倍の静音性を誇るキャスター。開発には、錠前部品メーカー「日乃本錠前」と、国内最大の化学メーカー「三菱ケミカル(旧三菱化学)」が携わる。
日乃本錠前(HINOMOTO)といえばグリスパックキャスターが有名でしたが、近年はこの「Lisof®(ライソフ)」を採用しているスーツケースが目立ちます。
錠前部品メーカーの日乃本錠前が開発した「グリスパックキャスター」は、各スーツケースメーカーも多く採用している業界知名度No.1の高品質キャスターです。
車輪口径部分に「HINOMOTO Japan」と記されているキャスターは日乃本錠前製のものになります。
グリスパックキャスターはその名の通り、車輪の回転を滑らかにするグリス(潤滑油)がキャスター内部に搭載されており、キャスターが回転するにつれて少しずつグリスが注入されるという仕様になっています。これによりキャスターの高い静音性を実現しています。また、グリスは部品と部品の摩耗を防いでくれるので、長く使っても壊れにくく耐久性も優れています。
(グリスパックキャスターは近年あまり見かけなくなりました。)
静音キャスターは昨今、どのスーツケースにも標準的に見かけるようになりました。
かつて静音キャスターは特別感があったように思いますが、スーツケース業界の発展・競合とのせめぎ合いによって、静音キャスターは身近なものになっています。
「キャスター音がうるさくて困っている」「音が大きくないか周りの目が気になる」という方は、静音キャスターが搭載されたスーツケースを試してみるのが良いです。