日本の鞄メーカーによる海外ブランド買収・商標権獲得も意外に多い

日本の鞄産業

スーツケースの有名ブランドを色々見て思ったんですが、日本って結構「鞄製造」の先鋭でもあるんだなと感じました。

現代の日本というと、自動車産業、技術研究開発、精密機械といった産業が盛んな先進国というイメージがあり、どちらかといえば「鞄製造」分野は中国・東南アジアなどが強いのかなと勝手に想像していたんですが、鞄製造分野も結構強いんだなぁと認識させられました。もっとも、生産ラインについては中国・東南アジアなどに拠点を置いているメーカーが多いですが。

かばんの聖地「兵庫県豊岡市」は日本有数の鞄生産地で1,000年もの古い歴史を持っていますし、エキスパンダブル（マチ幅拡大）を初めて製造販売した株式会社吉田、現代ハードスーツケースの原型を作ったサンコー鞄株式会社など、日本の鞄メーカーが与えた影響も大きなものがあります。

私のサイトでは有名メーカーを中心に10数社のブランドを紹介していますが、それ以外にもまだ沢山の国内鞄メーカーが存在しています。日本の鞄メーカーと海外メーカーによる業務提携や、海外ブランド買収・商標権獲得といった行為も結構あり、世界の鞄製造における強豪国の一角を担っているように思います。

日本の鞄メーカーによる海外ブランド買収・商標権獲得

権利関係はあまり詳しくありませんが、幾つか紹介したいと思います。

エース株式会社 （ゼロハリバートン買収）

日本有数のスーツケースメーカー「エース株式会社」は、アメリカの老舗メーカー「ゼロハリバートン」を買収しています。ゼロハリバートンといえばアルミニウム合金を用いたアタッシュケース製造が有名で、その優れた密閉性・強度・耐久性に注目したNASA（アメリカ航空宇宙局）が、月の石や砂を持ち帰るための標本格納器（月面採取標本格納器）の製造を依頼するほど。エース株式会社の自社ブランドとしては、「ace.」「プロテカ」が有名です。

株式会社トリオ （イノベーター製品）

兵庫県豊岡市に所在を置く日本の鞄メーカー「株式会社トリオ」。自社ブランド「カーゴ」では、ビジネスマン向けのスタイリッシュで落ち付いたスーツケースを提供しています。買収なのか代理店契約なのか定かではありませんが、北欧スウェーデン生まれのインテリアブランド「イノベーター」の製品も取り扱っています。イノベーターは家具製造から始まった北欧ブランドですが、十字マークのデザインが象徴的なキャリーケースも製造しています。

衣川産業株式会社 （バーマスのブランド取得）

兵庫県豊岡市に所在を置く日本の鞄メーカー「衣川産業株式会社」。歴史は江戸時代にまで遡り、明和4年（1767年）前後、小間物ごうりを販売していたと記録にあるようです。スーツケースは、ドイツの老舗ブランド「バーマス」製品を取り扱っています（同ブランド取得）。